ピアノとアレクサンダー・テクニーク ⑧

ピアノとアレクサンダー・テクニーク ⑧

「上へ向かう」

前回は抑制についてお話しました。

無意識にいつもの習慣で動いてしまう前に、ストップ。自分の行動に”NO”を言います。

まず待つ時間をとって、いつもの次のことを考えましょう。

「首が自由で、頭が前へ上へ、背中は長い、広い」

首が後ろに引っ張られずに自由でいられて、頭は脊椎の上でバランスよく軽く乗っている。

すると背中は長く広い状態になり、全体のつながりが生まれます。

重力で重さが下に向かいますが、自分は「上」の方向を考え続けます。「上へ向かう」ということは、脊椎を伸ばして引っ張るのではありません。縮められていた筋肉が自然に解放され、いらない緊張がなくなり、自由に動けるようになります。

常に動きは拮抗していて、反対の方向性を考えることで、一方だけを力で押し込まずに動くことができるのです。

打鍵するときも、上を考え、拮抗する力を活かせば、固めずに自然に”発音”されるはずです。

押し込むと、筋肉を縮めてしまいます。

fの時も自分の重さを押し込まずに、球体のように音が広がることを考えると、

のびやかに拡がります。

さあ、「がんばる」ことをやめて、解放してみましょう。