ピアノとアレクサンダー・テクニーク⑫

ピアノとアレクサンダー・テクニーク⑫

「結果を求めるまえに」

例えば ”このフレーズを綺麗に弾きたい”

”間違わずに弾きたい”

”緊張しないで、自分をコントロールしたい”

これらは音楽家にとって常に悩みの種であり、そのために多くの練習を重ねています。そこで立ち止まって考えたいのは、目的は、練習に多くの時間を費やし、繰り返すことではなく、どのような音、音楽にしたいか。そのためにどのような練習をするべきか。

わかっているようでいて、やはり回数や時間で自分を納得させてしまっていませんか?

アレクサンダーは結果を性急に求めることを、結果至上主義(end-gaining エンド・ゲイニング)と名付け、結果に至るプロセスこそ大切にするよう、繰り返し伝えています。

練習に時間を費やすことが悪いのではありません。

間違った使い方で練習を続けてしまうと、改善と逆の方向へ自分を導いてしまっているかもしれないことに、気づくことが大切です。

うまくいかない原因は何でしょう。

繰り返すことがパターン化していませんか?

速度を速めたいばかりに、力で押していませんか?

大音量で弾くことで満足していませんか?

なんとなくその場では達成感を得られても、実は自分の習慣を繰り返すだけで、同じところをぐるぐるしているかもしれません。

基本のプライマリーコントロール(首・頭・背中)を考え、自分の指、手、腕がどのような動きをしているか、それによってどのような音が生まれているか、ゆっくり観察しながら、動きと、出てくる音へ繋がる作業を大切にすると、きっと音が変わってきます。