ピアノとアレクサンダー・テクニーク⑬

「こころとからだ」
心で思うことが、身体にもあらわれる。その逆も然りで、身体にあらわれる反応は、感情にも影響します。
アレクサンダー自身は、心と身体は統合されたものであり、「心身一体」という意味のpsyco-physical unityという言葉を使いました。
悲しい、辛いなどの感情によって、身体が重くなる、頭が痛くなるなどの経験は、だれにでもあるでしょう。考えることで、脳からさまざまな指示がなされ、実際に身体へ影響を及ぼします。
そのような時に、自分はどのような反応をしているでしょうか?頑張らなくちゃと無理に胸を張る、感情を抑える、または逆にあきらめる。力で感情を押し込めてしまうと、緊張によって固めることになります。そしてその感情が次に起こったときに、同じような反応を生み出すでしょう。
そのような時こそ、プライマリーコントロールを思い出してください。「頭-首ー背中」のよい関係がよい繫がりを生み出し、呼吸が楽になり、循環が良くなります。いろいろなところを固めて、滞っていたものが楽になると同時に、それまで思い詰めていたことが、それほど難しいことでもないように思えてきます。
音楽は感情を表現しますが、表現するのは身体です。指が鍵盤に触れた瞬間、腕が、脚が身体から自由に離れていくことで、自然な表現が豊かに伝わります。書かれたものを読み解き、それが感情とともに、どこも邪魔をせずに表現できれば、楽器にも伝わり、聞く人にも届くでしょう。
こころを解放するとは、固めて使っている身体を解放することでもあるのです。